2013年11月23日(土)に開催されたORF2013において、『SFCが開く未来とSFCの役割』と題したプレミアムセッションが行われました。今後SFCはどのような施設を作り、教育を行い、どのような人材を育成するのか、SFCはどこへむかうのか、両学部長ならびに未来創造塾開設準備室の教員が熱く語り合ったセッションです。
 

<登壇者>
常任理事/國領二郎
総合政策学部 学部長/河添 健
環境情報学部 学部長/村井 純
SFC研究所 所長/小川克彦
未来創造塾開設準備室 室長/村林 裕
未来創造塾開設準備室 委員/加藤文俊
未来創造塾開設準備室 企画ディレクター/古谷知之
未来創造塾建設委員会 委員長/池田靖史
未来創造塾建設委員会 副委員長/内藤泰宏

国を超えて人が集まる拠点、未来創造塾について

はじめに、2015年秋に開設予定の“未来創造塾”について、登壇者それぞれの立場から以下のようなコメントが述べられました。
 

「既存のキャンパスの手前にある約3,000ヘクタールの敷地を使って、約180名規模の学生や教職員が滞在できる施設をつくり、教育滞在型の様々な研究をしていきたい。必ずしもSFCのための教育研究施設ではなく、慶應義塾のグローバルゲートウェイとして、世界に貢献する人材をここで育成したい」

「矢上キャンパスと合わせて、“京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区”に指定されましたが、東西医療や漢方といった様々なヘルスケア、ライフサイエンスに関するデータサイエンスなどの基礎的な研究拠点にしたい。“さがみロボット産業地区”と2つの特区がクロスするところで、医療、健康分野におけるロボットとモノづくりを総合的に展開できると良い。世界と日本を研究テーマで結び付けるグローバル拠点として、SFCだけでなく周辺の街づくりにも貢献していくことが重要な課題である」

「未来創造塾に宿泊できるようになることで、卒業生、学生、教職員が交流できる機会が大きく広がっていく」  

情報技術を基盤とした「健康」問題について

続いて、SFCが今後どのように歩んでいくべきかについて、幅広い観点から活発な意見交換が行われました。
 

「健康問題では、病院と医療情報、つまり医学部とSFCが一緒に組んでやっているが、まだドメスティックである。地球のどこに行っても“健康”は大事なこと。これからの学生は、地球全体で人類の健康をどうするかを考えなければならない時代である」

「SFCだからできる社会のノウハウ、技術サービス、制度、ルール、すべてを合わせて輸出する仕組み作っていくこと。新しい日本づくりのために、文化やルールを技術やサービスでくるんで、社会全体として世の中に発信する。未来創造塾はそうした拠点になっていく」

「今、国別に分かれていた大学業界で急速に壁がなくなり、世界のどこの大学に行くかという話になってきている。その中で、日本はどのような付加価値がつけられるのか。健康というテーマをとっても、SFCは独自なものを発信できるはず。しかし、今のところ全然発信できていない。教室と滞在施設一体型の環境を整備しながら、世界に 対して魅力のあるプログラムを作り、世界中の学生と日本の学生が一緒に勉強する、日本の学生も世界に出向く、といったことが自由自在にできる大学を作りた い」

「SFCは、地球全体の中で何をやるべきで、どうしたくて、どの問題を解きたいのかという視点を持とう」

「世界大学ランキングのブレイクダウンした指標をみると、留学生や外国人教員が少ないことが圧倒的な問題になっている。国際化の部分をどうするか考えることが大事である」

リーダーをいかに育てるか

時代が大きく変化していく中で、SFCの未来のためにどのようにリーダーを育てていくかをテーマに議論が交わされました。

「SFCは、それぞれの興味、個を伸ばす教育をしている。ところが、日本の教育制度、特に中高の教育制度は、一定の合格ラインに到達す ることを良いと評価する教育制度をしていて、個を伸ばすことをしていない。欧米では、一人ひとりの個性を伸ばす教育を中高レベルから行い、大学はそれを引 き継いでいる。ようやくSFCで個性を重要視する教育を始めたが、今後、日本のリーダーを育てるには、日本の中高の教育制度を徹底的に変えなくてはいけない」

「今日生まれた子どもが何かになろうと思っても、大人になるころにはその職業が存在していない可能性は高い。建築を勉強したとしても、それで何になってどう生きていくかは自分で考え、切り開かなければいけないと思う。その力をつけていくのがSFCではないか。勉強していることと、なりたいものは同じではなく、力をつけること、それを何に役に立てるかは、自分の中でもう一回昇華していかなければいけない」

「しっかりやっている学生に感化され、仲間が増えて大きな動きになる。個性の強い学生が少しいればいい。その芽を摘まないことが大事」

「25年前、ものすごい勢いがあったSFCは社会に受け入れられ、日本の教育を変えてきた。今、社会の問題がいろいろ出てきている。今度はそれに対応しないといけない。その回答を与えるのが未来創造塾であり、第2回目の爆発を起こしたいという思いがある」

来場者とのセッション

会場にいた方々からも意見を伺いました。高校生からの「生きる意味は何ですか」という問いに対し、登壇者からは以下のようなコメントがありました。

「自分がどう生活したかを絶えず反復しながら、いろいろ自分で推考しながら生きるのがいいかもしれない」

「自分より次の世代の人が、それまで届かなかったものに手が届くようになる。そういうことをやろうと思った。そうしたら生きる意味が出てきた。次の世代の人が、もっといいことができるようにしたいと思った時、生きる意味は何だろうという悩みから解放された」

次に卒業生から、自分たちもSFCにコミットさせてほしいという声が多いという意見に対し、

「大学としては、卒業生の面倒まで見るつもりはない。何かやりたかったら、どんどん大学を利用してほしい」

「卒業生は、SFCの良さを測れる最高の物差し」

「専門性を生かして講師に来てもらうなど、活躍している卒業生と学生が接するチャンスをたくさん増やしたい」

といった発言がありました。
 
予定時間を越えて展開された熱いセッションは、両学部長のコメントで終了となりました。

総合政策学部 学部長/河添 健
「SFCの最大の特徴は多様性。他の大学が真似ようとしても絶対にできない。それは、我々教員が最大限のエネルギーを発揮し、学生たちがエネルギーを持ってきてくれるからである。AO入試などいろいろな仕組みで、エネルギーを持っている学生たちを集めている。未来創造塾は4年間に加えて、夜のエネルギーも使ってしまおうとしている。人間が持つ潜在的なエネルギーを引き出すのがSFCである。今後もこのキャンパスを見守っていただきたい」

環境情報学部 学部長/村井 純
「世界には今、いろいろな危機があり、世界や日本の様々な問題を解かなくてはなりません。慶應義塾は、そうした問題を解決できる人材が豊富にいる。その慶應の中でもSFCは、学生と教員が一緒に問題解決に取り組むことが他学部と違う点である。課題を解いていくのは、SFCの使命の一つだと思う。課題が多い時代だからこそ、我々が頑張らなければならないし、学生と一緒にできることは、とても幸せなだと思う」